
WEB連載第18回目
ふくふくや第17回公演『カランのコロン』
2016年(下北沢駅前劇場)
ふくふくや20回公演「こどものおばさん」に寄せて
「次に靴紐がほどけたら、殺す。」
「カランのコロン」オーディション会場でそう言われた。
(本当はこんな言い方じゃなかった気がするけど、僕にはそう聞こえた)
慌てて靴を脱いで、裸足で芝居をした。
それが、僕とふくふくやとの出会いで、初出演した「カランのコロン」のはじまりでした。
どうにかして、メモリアルな文章を書こうと思っているのですが、
僕の頭から出てくるのは馴染みの飲み屋でのバカな笑い声と、
演出の司茂さんの舌打ちと、べとべとで味のないもんじゃの食感です。
(ろくなことを覚えていない、もしかしたら毎日酒が残っていたのかもしれないと今は思う)
唯一覚えているのは、僕はヤクザの2代目のボンボン役で、大助さんが男気ある若頭役を演じていて、
僕が大助さんに膝蹴りするシーンがあったんだけど、先輩の「本気でやっていいから」をバカみたいに鵜呑みにして、
“こんな屈強な男に膝蹴りする機会もないだろうから思い切りやっちゃお♡“
なテンションで毎回蹴らしてもらったこと。
これは僕がただのドSという話ではなくて、そういう“本気”の人達なんです。
なんでも。だから面白いんです。素敵なんです。
今回は最前席でかぶりついて見てやるんだ。
大好きな人達の“本気”を浴びて、ちょっとでも気を抜いたら、最前席からツネってやる。
もちろん、靴紐はギュッと縛って。
あー。結局、ただのラブレターになっちまった。
関口アナン
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photo by MASA HAMANOI

関口アナンANAM SEKIGUCHI
所属事務所ボックスコーポレーション
昭和63年、東京生まれ。
ふくふくや第17回公演「カランのコロン」
から、3年連続でふくふくやに客演。
出演情報
【舞台】
19年’12月 はちきれパンダ 下北小劇場B1
20年’ 1月 ゴツプロ!「狭間の轍」本多劇場
【TV】
テレビ朝日開局60周年記念ドラマ
やすらぎの刻〜道 <放送中>
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