
WEB連載第7回目
ふくふくや第7回公演『たった今、三本木雷子参上』
2005年(下北沢「劇」小劇場)
WEB連載第7回目
ふくふくや第7回公演
『たった今、三本木雷子参上』
2005年(下北沢「劇」小劇場)
たった今、三本木雷子参上
全くの余談ですが、座長・山野海の事を私の周りの人は全員「海さん」と呼びます。しかし、俺は出会った日から本日まで「山野さん」と呼んでいます。
なんで俺だけ山野さんなんだろう?
全くの余談です。
さて、思い出。
こちらの作品、お馴染み旅芸人一座の家族を描いた「三本木一座シリーズ」。
とは言いつつも登場するのはいつもの三本木麗子ではなく、麗子の母親・三本木雷子。
麗子の親世代の物語。
だからどっぷり昭和のお話でした。
ワタクシの役所は、雷子の一座に拾われてきた捨て子・満腹川道之丞(まんぷくがわみちのじょう)
満腹川って…竹田新はネーミングもエッジが効いてます 笑
そのまま旅芸人一家に女形として育てられた故に、日常的に女言葉を使っているちょっと頭のゆる〜い、でも芸は一流の役者。
この作品はセットにもこだわり、昭和当時の雰囲気を出すために、敢えて書割の松の木や土塀などを借りてきたり、背景を幕に描き、場面が変わるたびに幕を振り落とし、長屋から川沿いの場面へ、といった具合に転換するこだわりの演出がなされておりました。
しかしお客様から書いて頂いたアンケートを読んで愕然。
「早く人気劇団になって、ベニヤで作った安いものじゃないセットで舞台が出来るようになるといいですね」
嗚呼、そうか。
敢えての書割や幕に描いた絵が、お金が無くてセットがちゃんと作れなかった貧乏劇団と映ってしまったのか…
劇団員みんなで苦笑いした記憶があります。
そして、一番の思い出は、演出の司茂さんにめちゃくちゃ怒られた記憶。
私なりの役作りで、映画フォレストガンプのトムハンクスみたいな髪型にしようと思い、誰にも告げずに床屋で散髪。
上記のまま床屋さんに告げると「あ、GIカットですね」と。あ、あの髪型はGIカットなんだ。刈り上げ頭に焼きそばが乗っかった様なヘアスタイル。
翌日稽古場に行くと、共演者の顔がフリーズ。
あれ?
遅れて稽古場に来た演出の司茂さんが私の刈り上げを見るや否や顔を真っ赤にして
「俺は出落ちは嫌なんだよっ!」
なんの前触れまなくショッキングなヘアスタイルに変貌した私を見て、激怒。
結果
私の登場は羽二重を被ってに演出変更…
ワタクシの三本木雷子の思い出は
「フォレストガンプヘアに激怒される」
です。
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photo by 関根一秀

清水 伸SHIN SHIMIZU
所属事務所 JFCT
2000年以降、ふくふくや全ての公演に出演。
”ふくふくや副座長。笑いの申し子。天才子役の異名を持つ。その緻密に計算された芸の数々は、江戸時代から継承された秘伝の技だとか。”
出演情報
ドラマ
『それぞれの断崖』8/3(土)23:40〜スタート 東海テレビ・フジテレビ系列
Netflix 「全裸監督」8/8 配信スタート
CM
「ニトリの接触冷感・Nクール」他
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