WEB連載第6回目

ふくふくや第6回公演『パラダイス〜I DO LOVE YOU つゆだくのタンゴ』

2004年(下北沢「劇」小劇場)

WEB連載第6回目

ふくふくや第6回公演
『パラダイス〜I DO LOVE YOU つゆだくのタンゴ』

2004年(下北沢「劇」小劇場)

皆さんご存知のように僕が上京して約20年が経ちます。今はお笑いの舞台で出たり書いたりしていますが、最初に本格的な舞台に出演させていただいたのが、ふくふくやさんの『パラダイス』でした。

演劇の事は何もわからない僕がいただいた役は「オカマのホステス」でした。
そのために、ただでさえ毛深い自分のワキや腕やスネなど全身の毛を毎日剃りました。ご存知のように僕は敏感肌なので、日に日に肌が荒れてとても苦労しました。お肌のことを気にし過ぎて稽古や本番に集中できない時もあり、演劇の世界の厳しさを痛感しました。でもそんな中、他の出演者・スタッフの皆さんの優しさという薬用クリームが、僕の心の敏感肌に染みわたり、何とかやり遂げる事が出来ました。

ここからちゃんとします。すみません。
『パラダイス』もそうなのですが、僕が観てきたふくふくやさんのお芝居にはいつも「不器用で愚かだけど、善かれと思い生きる人たち」が出てきます。そこには善人とも悪人とも勝ちとも負けとも言えないそれぞれの生き方があり、観た後「あの人たちはどう生きれば良かったんだろう」と考えさせられ、何とも言えない気持ちになります。
僕にとってそんな「何とも言えない気持ち」がふくふくや作品の魅力であり、その源は山野海さん=竹田新さんの中の「シャイさ」にあると思います。
海さんの豪快さと(素晴らしい意味での)下品さが、裏側の繊細で上品な部分を隠そうとしてせめぎ合うその「シャイさ」が、竹田新さんの書く「不器用で愚かだけど善かれと思って生きる人たち」のせめぎ合いであり、そのどれもが人間の本質だから「何とも言えない気持ち」になるんだと思います。

かれこれ『パラダイス』は15年ほど前の作品ですが、最近のふくふくやさんの作品を観させてもらった時に、15年前すでにあったものに今さらながら気づいたように思います。

そして15年経ってもいまだに肌の弱さが治らない僕に、いつか「肌の弱いオカマのホステス」の役でまたオファーしていただけることを待ち望んでおります。

西島 巧輔KOSUKE NISHIJIMA

新宿のルミネtheよしもとなどで新喜劇やSPコメディの作・演出・出演中。
インスタグラムで漫画描いてます。
http://Instagram.com/nishijimakousuke

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